田の越しの三界坊 さんがいの記

熊本在住の三界坊が、九州の山歩きで出会った山野草、渓流釣りのあれこれなど、暇にまかせてのなぐり書きです。

事の始まり、余は如何にしてICD埋め込み者となりしか

 2007年12月16日の午前中、種子島中種子町にあるテニスコートで地域のミックスダブルス大会が開催されました。試合開始の直後、サービスを打っている時に倒れたそうです、心肺停止です。肥大型心筋症に伴う心室細動というのが診察したお医者さんの診断です。幸い、同コートにはまだ設置して半年もたたないAEDが備えられており、また、大会の参加者に看護師さんもいました。倒れた直後にすぐに心臓マッサージと人工呼吸が施され、AEDも使われたそうです。加えて幸いなことに同コートから最寄りの消防署までは車で5分程度、すぐに救急車が来てくれ、病院へ搬送途中に車中で蘇生したとのことです。この間の記憶は本人には全くありません。当日の朝、いつ起きてどのようにテニスコートに行ったのかも全く覚えておらず、気がついたのは翌日、病院のベッドの上、しばらくは何でそこにいるのかさえ理解できませんでした。この経過は2007年12月17日付の南日本新聞、社会面に「テニス中に心停止 AEDで助かった」という記事で載っています。AEDの有効性を広く知らしめる事例としては私の体験も役に立ったようです。ほどなくして、私の勤務する事業所でもAEDが設置されました。
 再び発作が起きることも考えられるということで、私の場合は主治医に「埋め込み型除細動器」(ICD)の植え込みを勧められました。それが最善であろうと考え、鹿児島市鹿児島医療センターにおいて、12月27日に左胸壁にICDを埋め込む手術を受けました。埋め込んだのはセント・ジュード・メディカル社の「ATLAS V-243」という機種です。埋め込み後は半年に1回程度、定期健診を受けています。検診では記録されたデータの読み取り、バッテリー残量のチェックも行われます。ICDを入れているからといって、日常生活においてとくだんの制限はありませんが、激しい運動と力仕事はだめです。その他、ペースメーカーを入れている皆さんと同じ程度の生活上の注意は必要です。ちなみに第1種の身体障害者となります。
 臨死体験について
 心肺停止から蘇生したということで、よく、その間に何か見ませんでしたかと聞かれました。いわゆる臨死体験というものです。私の場合、残念ながら何も見えませんでした。先にも書きましたが、倒れた時の前後丸二日間程度について何も記憶がないのです。
 前触れについて
 30歳ころから健康診断などで心電図をとるといつもひっかかっていました。お医者さんには心筋肥大ですからあまり過激な運動、競争的な運動は避けるようにと言われていました。それまでほとんど自覚症状はありませんでしたが、倒れる数ヶ月前に2回ほど、かなりハードなテニスの練習中にコート上で目の前が暗くなり、倒れそうになったことがあります。このときはすぐに日陰で休んで、しばらく安静にしていて回復したのですが、脈拍がおかしかった(不整脈)のは確認しました。この時に心肺停止にならなかったのはラッキーでした。このコートは町からかなり離れていましたし、AEDなどはありませんでしたから、もしここで心肺停止となっていれば、おそらく助かることはなかったと思います。何で私がテニスコートで倒れるような羽目になったのか、倒れた後、しばらくは理解できませんでした。それまで体の頑健さだけには人一倍自信をもっていましたから。しかし、あとで落ち着いて考えて、それまでに続けてきた長年の不摂生と無茶な暮らしぶり、体の酷使が原因だったかなとようやく思い至った次第です。「後悔先に立たず」、皆さん、一つしかない心臓です、大事に使いましょう。