田の越しの三界坊 さんがいの記

熊本在住の三界坊が、九州の山歩きで出会った山野草、渓流釣りのあれこれなど、暇にまかせてのなぐり書きです。

ICD作動に伴う運転免許取消処分顛末記

9月7日の日記で、車の運転ができなくなってしまったことを書きました。
今日は世のICD患者、同病諸氏のご参考までにその顛末を紹介いたします。
 
1.突然のICD作動
 201456日、登山中(単独行)に大崩山系の鹿納山山頂付近で不整脈発作。下山中に「鹿納の野」から「ブナの三差路」への登り返し途中でICDが作動、電気ショック2連発(13:00ころ)。しばらく休憩したのち、上り坂では一歩一歩と歩を進め、下り坂はゆっくりとだが普通に歩き、何とか16:00前にはお化粧山登山口の車までたどり着く。 
 
2.    熊大病院での診察とICDのデータ読み取り
623日、熊大病院で2ヶ月に一度の定期的な診察を受ける。主治医から驚きの説明。56日にICDが作動したことから、それから12ヶ月間は運転制限になるとのこと(平成266月より施行された改正道交法により)。「届出」はあくまで自己申告であるが、ICDが作動したことを申告するようにと指導される。即日、運転免許センターに診断書様式を送ってくれるように連絡。
 
3. 診断書の作成と提出
運転免許センターより送られてきた診断書様式を熊大病院へ送り、主治医に診断書作成を依頼。熊大病院から届いた79日付けの診断書を711日に熊本県公安委員会の担当者宛に送付する。
診断書総合所見の記載:
20071216日に心肺停止。心肺蘇生され、肥大型心筋症に伴う心室細動の診断で1227日に植え込み型除細動器移植術を施行。以降、当科にて通院を要しており管理中であるが、2012年ころから心房細動発作も認めるようになり、201456日登山中心房細動発作時に心拍数が上昇し除細動器が作動した。尚、意識は失っていない
 
4.聴聞通知書の受領と聴聞通知書受領書の送付
 89日、聴聞通知書(821日に聴聞を実施するという88日付の文書)を公安委員会より受領。811日に熊本県公安員会へ電話し、予定されている行政処分内容について確認、直ちに聴聞通知受領書を公安委員会へ郵送。
 
5.821日、聴聞に出席、運転免許取り消しの行政処分を受ける
 821日、午前、熊本県運転免許センターに出頭し聴聞を受ける。この時点で運転免許証は提出、長年連れ添った金色のやつで名残惜しいがお別れです。午後、運転免許取消処分書(欠格期間、平成26821日から1年間)を交付される。
取消処分書の理由の記載:
道路交通法103条第1項第1号ロ
違反・交通事故の発生年月日(26.7.9
違反行為の種別等(令33条の232項第2号に該当)
 
ちなみに作動後1年間、何もなければその後、適性検査を受けることにより(学科試験と実地試験免除扱い)、再び取り消されたものと同じ運転免許がもらえるとのことです。一方、この期間中に再度、作動があれば、運転許可に必要な観察期間はさらに最後の作動から12ヵ月間延長されるということです。まずはこの一年間、おとなしく過ごし、運転免許を取り戻すことを考えるのが、現時点でできる最善の策のようです。
参考資料:
日本不整脈学会 「道路交通法改正」の概要について
日本不整脈学会 ICDCRT-D植込み後の自動車の運転制限に関して
 
今回の処分に関する疑問点、後日思いついたこと
改正道交法の施行は平成2661である。ICDが作動したのは、それ以前、今年の56である。法律施行前の事実をもとに行政処分を行うことが果たして妥当なのだろうか?
ICD作動後の必要観察期間は12月とされている。私の場合、その起点は56日であり、79日付診断書でもそのことははっきりと示されている。
以下抜粋:
「植え込み後6月を経過しており、過去6月以内に発作が起こったことがなく、かつ発作のおそれの観点からは、運転を控えるべきとはいえない」(C
「(C)」とはいえないが、12月(平成2756日)以内に「(C)」と診断できることが見込まれる。
私の場合、診断書では「」が選択されている。
どう考えても、処分はICDの作動があった56日までさかのぼって、そこから12月というのが妥当で、一歩譲っても診察を受けた623日、あるいは診断書が出された79日というのが適当ではないだろうか。私は623日に主治医の指導を受けて以降はハンドルを握っていない。ましてや、診断書を公安委員会へ提出した711日から行政処分を受けた821日までの約40日間のブランクは公安委員会の都合により生じたものであり、私はその間も運転はできない状態にあった。この期間が、処分期間の1年間に繰り入れられないのは理不尽な気がする。聴聞ではそのことも述べさせていただいたが、規則上、これは認められない(気持ちはわかるが)とのことであった。
ICD作動後には運転免許は取り消し、その後、欠格期間が12ヶ月、これは重すぎる、長すぎる処分のように思えます。意識消失を伴う重大な発作を起こした、あるいは運転中にICDが作動し事故を起こしたというのならそれもわかりますが、そうでない作動の場合、36月以内の運転停止処分でよいのではないでしょうか。通常の交通違反と比較しても運転免許取り消し、欠格期間1年というのは相当重い処分かと思います、たとえば死亡事故に該当します。「交通安全が最優先」という法の趣旨は理解できますが、それにより対象者が被る不利益はあまりに大きすぎる気がします。現代社会において運転ができなくなるということは結構、不便でつらいものです。
 あと残すところ319の辛抱です。一年は長いですね。